逆光とよく言われますがいつも順光の志水です。
タイの北の古都チェンマイにいます。
えー端的に言いますと、事故を起こして”短期的記憶喪失”になっていました。
事の発端はチェンマイ近くにタイ最高峰の山(ドイ・インタノン) があると聞き、どんなもんじゃい見せてみい!と意気込んで原チャを借りたところからです。
この光景です。
界王様がいそうです。精神と時の部屋をBooking.comで予約するのを忘れましたた。
そんなこんなでタイの交通量にビビる事なく出発。
スイスイ進むこの感覚、ベトナムのサパ以来です。
日本縦断も自転車じゃなくてこっちで行けばよかった、いやそんなこと絶対ない、あるはずないと言い聞かせながら70キロほど離れたドイ・インタノン国立公園まで突っ走ります。
東南アジアの山は未開の土地か車で行けちゃうほど整備されているかのどちらかが多いのでそこまで期待していませんでしたが、簡単なトレッキングぐらいできるだろうとウキウキです。
山へ向けて走っている途中には小さな市場や田舎風景があってこれこれ!とどんどんテンションをあげていきます。
給油をしたついでに買い食いしたり、ひとりドライブを楽しみきっていました。
そして国立公園への青看板を見ながら公園内に突入します。入園料300バーツ
山道をぐいぐい進み、
なんだか途中に滝があったのでそこでやっぱり自然はいいのおと。
そして再出発。
そこからの記憶がありません。
起きた時には病院でCTを取るところでした。
志水「え?」
医者さん「脳に血がまわっている可能性があるから。ね? ね?」
理解が追いつきませんでしたが、自分の記憶をたどっていってもどこでどのように事故を起こしたのか、ここはどこの病院か、そもそもなぜチェンマイにいるのかすら思い出せませんでした。
盛っているではなく本当です。
事故を起こしたらしい。
幸いにも単独らしい。
聞けば山道をビュンビュン調子乗って飛ばしていてスリップしてこけたんだとか。
とりあえず生きており、本気の界王様のところへ行かなくてよかったです。
身内に連絡と今日一緒にご飯行く予定だった人へ連絡しなきゃ。
携帯は?
いつものショルダーバッグの中だ。
志「あのーショルダーバッグ見ませんでした?まず連絡を入れたいです」
看「そんなものありませんでしたよ」
志「ん?いやあるはず、財布とかはそこに入ってたはずだし」
結果そもそもショルダーバッグは宿に置いて持って来ていませんでした。
怖すぎます。
記憶がぐちゃぐちゃです。
これ入院したらミャンマー行きが遅れるかなあ、あれそもそもミャンマーは何日からの予定だっけ。
思い出せません、怖すぎます。
医「ではCTをとります」
志「ん、なぜ CTを取るんだ」
もはや忘れていて、ここでようやく自分がしっとりとパニックに陥っていることがわかりました。
そんな中よくわかりませんが脳内では青いイナズマが再生されており、よしSMAPは覚えてるぞと。
ってか身体痛。
右半身がハロウィン仕様です。
ハロウィンは10月31日、覚えてる覚えてる。
誕生日は5月8日、覚えてる覚えてる。
同じ誕生日は曙、覚えてる覚えてる。
こんなの忘れてもいいことです。
ん、そういえばパスポートは?それだけは!盗まれてないか⁉︎
どこだ、全く覚えていない。
結論から言うと、スクーターを借りる時にデポジットで宿に預けていたのでした。
バカが混じってきており何が何だかわかりません。
とりあえず皆さんに伝えたいことは、事故って病院に行ってCTスキャンと包帯で3,500バーツぐらいだったよということ。(1万2,000円ぐらい)
海外で事故る経験と記憶喪失の経験を買ったと思えば安いかもしれません。
医「脳は大丈夫そうだわ。いま宿の人に迎えを頼むから宿の連絡先を教えて」
志「結果出んのはや!脳と骨に異常がなければスクーターで帰ります」
医「さっき事故を起こしといてよく言うわ、また起こすよ?」
志「すみません、いまこの事故経験を自分の運転で払拭しておかないとトラウマになってしまいそうで」
医「バカですね。診断書には自分から帰ると言ったと書かせてもらいますよ」
志「大丈夫です、帰れます」
謎に強気で外のスクーター駐車場に行ったものの、どれが自分の乗っていたものか思い出せませんでした。
看護師さんにこれですよと教えてもらう始末。
記憶の整理は後回し。命はある。
まず帰ろう。
エンジンのかけ方すら忘れていたシマツ。
ここまでくると記憶どうこうではなくバカでした。
自分のスクーターの乗り方を聞く人がはたしているでしょうか。
テレビゲームで持ち主なのに持ってない人からコツを聞いてしまうのと同じぐらい恥ずかしいです。
なんとか近くのバイクに乗っている人に教えてもらい、ようやくエンジンがかかりました。
そしてなんとなく帰り道っぽい方へ走っているとようやく落ち着いてきました。
これは記憶喪失ってやつだよな。
こんな感じなんだ。
飲みすぎた次の日と一緒、全く覚えてない。
人の脳は都合悪すぎる記憶を抹消することがあるらしい。
自分の頭の使ったことのない便利な機能に驚きつつ、
そんなことなら高校の時に後輩にメールで告ってフラれた記憶も消してほしいと切に願いました。
そんなことより今はいいけど、寝て起きた時には己の存在すら忘れているのでは…
とようやく怖くなりました。
この辺の展開はキングダムハーツ2の序盤をプレイして”自己とは”を復習してください。
あの自分がいなくなったらという切なさったらありません。
ゲストハウスに着くや否やみんなが心配してくれて恥ずかしさは頂点。
顔から火が出てました。血でした。
そんなことより旅を続けるか帰るか。
身体はいずれ回復するだろうけどカメラがボロボロ。
写真は撮りたいし、旅を中断して帰るかなあと悩みつつ。
次の日、自分が天然パーマ中肉短背田舎ピーポーという現実を覚えていることを確認し、
ダメ元で電気屋さんへ。
電気屋「そんなのできない、Canonのサービスセンターがあるからダメ元で行ってきな」
Canonかあ、ちゃんとしたとこは飛び込みは受け付けないと突っ返されるよなあ。
志「お願いします、皿洗いでもなんでもします」
Canon「これは最低1週間はかかるね」
そりゃそうよねと。
志「綺麗じゃなくてもいいからなんとかならないですか、撮れればいいので…」
Canon「んーそゆことじゃなくてさ、うちとしても責任あるし直すってのはそゆことじゃないんよ」
そりゃそうよねと。
志「無念」
Canon「ホントに見た目どうでもいいの?ちょっと見してみ」
20分後。
Canon「最後はテープでガチガチにしたけど撮れるわ」
志「Make it possible with Canoooon!!」
次もその次もCanonの製品使います。
カメラが治ったので旅を続けることにしました。
しかし、未だ事故前後数時間の記憶は戻ってきていません。
ようやく政治家の気持ちがわかりました。
どこを探しても自分の記憶にないのです。
なぜ、どこで事故が起こったのか、なぜ覚えてないのか。
考えれば考えるほど怖くなってきます。
でもそこでモノは考えようだなということで
『その日をなかったことにする』
ということにしました。
あったものがなくなったから困るのであって、元々ないのであればなにも怖くありません。
私の中では今年は逆うるう年で364日ということにします。
身体のケガはムエタイマスターに辛勝した時のキズということにします。
深いスネの傷が物語っています。
ダイジョーブ博士の研究所で1031になりたかったなと欲が出てきたのは良しとして、
事故がなかったことになったので次はミャンマーへ向かいます。
というか事故った後でも旅行を続けられるのかという経験を得たいだけでもあります。
それでは皆さまご一緒に。
メイベンラーイ。
次回「脳みそ再起動ボタン」